「ライフ・オブ・パイ」:TOHOシネマズ日劇にて

初めて読み切ったガチ洋書、そして素晴らしい映像美

「ライフ・オブ・パイ」:評価65

監督:アン・リー 原作:ヤン・マーテル 

出演:スラージ・シャルマ、イルファーン・カーン

 

 大学に進学するにあたり、英語能力を向上しようと頑張って1ヶ月かけて読み切った原作「LIFE OF PI」。原作はやはり、賞を獲っただけに様々な文芸を魅せていました。

 例えば、主人公の名前、タイトルにあるPIは主人公のニックネームである。彼のフルネームはPISCINE MOLITOR PATELだが、発音するとpissing(=立ち小便、小便する)となってしまう。笑いものにいつもなる彼は、円周率PIを自分のニックネームにした。この芸は素晴らしいのだが、やはり英語ならではの技だから映画版でもあんまし面白さが伝わりにくかったのが残念だ。また他にも原作は、日本人との対話を汚い書体で表したり、Chapter97をわずか2単語で終わらせたりと非常に面白かった。しかし、原作で残念だった点は、明らかに日本と中国を間違えて認識していた点だ。決定的におかしかったのが、日本船の名前。「Tsimtsumu」、「ツィムツム」って日本らしくなさ過ぎて驚いた。まだ「Chimutsumu」なら良かったんだけどね。

 

 そんな感じで楽しく読み切った原作の後に観た映画版は、アン・リー監督の苦労がうかがえる作品だ。今回のアカデミー賞視覚効果賞は獲れるであろう、美しく、またネイチャー・ドキュメンタリーを3D化したような、そして3D映画の特性を上手く使った映像は素晴らしかった。この作品は珍しく3D、出来ればIMAXで観るべき作品だ。

 しかし、素晴らしいのは映像だけである。いや、監督は悪くない。原作の主人公があまりにも強運過ぎるのだ。監督はちゃんと一章のパイが宗教と出会うところもちゃんと描き、主人公をより絶望に追い詰めるような対策も練られていた。でもやはり漂流後の登場人物が2人(厳密には違うが)、しかもずっと生きるか死ぬかのサバイバル生活をボートでされたら中だるみするのも当然である。ともすると、やはり映画化は無茶な話だったのかもしれない。

 まあ、素晴らしい映像技術と原作をきちんと理解して脚色したアン・リーの腕前を味わう作品ってところですな。