「ゼロ・ダーク・サーティ」:TOHOシネマズ六本木にて

最後の一手で傑作に...

「ゼロ・ダーク・サーティ」:評価75

監督:キャスリン・ビゲロー 出演:ジェシカ・チャステイン、ジェイソン・クラークetc

 

 オサマ・ビンラディン殺害の話を早くも映画化。しかも監督は「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビゲローだけに興味がわき出てきた作品。今年のアカデミー賞は、一回似たような作品を撮った彼女の受賞及び、作品賞は獲れないだろうと高をくくっていたのだが観たら、愛国心あるアメリカ人の心を鷲掴みにしそうな作品だったので一発逆転のチャンス十分あることが分かった。

 さて本題だが、この作品の良さが分かるまで90分近くも待たなくてはならない作品である。主人公の女は、友人を自爆テロで失い「怒れる女」と化す。そして何をしているのかよく分からない(テロリストを捜していることは分かる)のだが、とにかく自己中心的で自分に刃向かう人は敵味方問わずキレる主人公に困惑せざるおえなくなる。

 そして、上記の描写に集中して前作「ハート・ロッカー」での「いつ襲われるか分からない手汗握る恐怖」を忘れてしまった頃に発動していた。

 いやーキャスリン監督はやり口が恐ろしい。ラストに至っては、なんたってオサマ・ビンラディンを殺すシーンだけに「ハート・ロッカー」以上のスリルを味わった。暗視スコープによるリアリティもあり、観客である私も戦場に放り込まれたような感じになってしまった。

 このように男尊女卑の文化が悲しいながらも残る映画界に凄腕っぷりを発揮する女監督キャスリン・ビゲローだが、やはり調査の限界だったのだろうか、シーンとシーンの転換が雑だった気がする。多分、空白の期間があったため仕方がなかったのだろう。それだったら、せめてビンラディンを殺した人が鬱になりかけている様子をもっと描いてほしかった。でも、ラストの10秒シーンで「友人を殺されたから、躍起になって、宿敵を倒したが、アルカイダ等と同じ事をしている自分に気づきむなしさを感じる」ってところを表現しきっていたのは凄かったと感じた。