「オズ はじまりの戦い2D字幕版」:TOHOシネマズ西新井にて

お侍さんは夢物語で斬る

「オズ はじまりの戦い2D字幕版」:評価80

監督:サム・ライミ 出演:ジェームズ・フランコ、レイチェル・ワイズ、ミシェル・ウィリアムズetc...

 

 「殺人魚フライングキラー」のジェームズ・キャメロンは「アバター」、「ブレインデッド」のピーター・ジャクソンは「ロード・オブ・ザ・リング」三部作とホラー系映画出身の監督がファンタジーを撮るケースは意外と多い。そしてお侍さんことサム・ライミはあの不朽の名作「オズの魔法使い」のプリークェルに挑戦した。正直、「スパイダーマン」三部作が「死霊のはらわた」「ダークマン」「スペル」のようなキレが無かった上に、ノンCGだから素晴らしかった名作の前日譚となると期待薄でした。

 しかし、侍は本腰を入れたファンタジーを構築していた。まず誰しもが思いつく、白黒からのカラー。このヴィジュアルのすばらしさは映画史に残る。それ故に、CGを使いまくれる現代においては工夫が必要だ。それを彼は光を使った工夫を魅せてくれた。オズの職業はしょぼいマジシャン。だから、彼はサーカスでマジックをする。人が宙に浮くマジックだ。しかし、彼がマジックをしているとこんな野次が飛ぶ「あっワイヤーでつり上げているー」。じっくり見るとワイヤーらしきものが見えるでは無いか。あんな細いワイヤーをくっきりと映し出しているところにまず感激。しかも、マジシャンはそのワイヤーを斬る芸当をするではないか!そして予想通り宙に浮いたままだ。これはエクセレントだと思った。このほかにも、白黒映像とうさんくさいマジシャンを上手く組み合わせて、昔のB級映画のような雰囲気を醸し出していて、夢の国行く前からワクワクしました。

 そして、侍の勢いは夢の国行ってからも大暴走。ファンタジー映画のくせに、ホラー映画のようなびっくりシーンを沢山挿入している。そして、決してブリキの男などは出てこないが愉快な仲間達と一緒に、三姉妹の仁義なき戦いの救済を始める。そう、この三姉妹の戦いが実に泥沼で面白い。最初は3つ巴で権力争いしているように見えるが、やがて2人の魔女vs1人の魔女と化していき、最初は2人の魔女が協力して1人を倒そうとするが、それぞれの思惑から単独で攻め入る。こんな権力抗争に巻き込まれたマジシャンはさぞかしビックリだろうなと感じた。そしてマジシャンが頭を絞って作り出す戦術が背水の陣のような技だけれどキレがあって面白かった。

 「スペル」まではいかないけれど、彼のホラー映画のファンでも気軽に楽しめる作品でした。