「シュガーマン 奇跡に愛された男」:角川シネマ有楽町にて

人生は映画なり!

「シュガーマン 奇跡に愛された男」:評価80

監督:マリク・ベンジェルール 出演:ロドリゲスetc

 

 近年グローバル化の進行で、人びとは世界を相手に勝たなければならないとよく言われている。世界を相手とするとなるとオンリーワンになることが難しくなり、膨大な人びとの中でナンバーワンを目指さなくてはならなくなる。それ故に、シャイ国家日本では特に「受動的でなく能動的に活動せよ」と言われる。しかし、人生は多種多様に満ちあふれている。こんな受動的な物語、あるいは諦めの物語もあって良いのではと感じた。

 アメリカでは知名度がゼロに近いぐらいの歌手ロドリゲス。全くヒットしなかったため、工事員として厳しい生活を送っていた。しかし、アフリカではアパルトヘイトのシンボルとしてボブ・ディランを超える人気にあったのだ。ロドリゲスはそのことを全く知らない。そして20年後、ロドリゲスのファンが彼を見つけ出し、アフリカでのライブへとこぎ着けたという話である。

 諦めていた音楽活動を再び始める原動力は「ファンの存在」である。人生とは、人と関わるものである。自分の人生は純粋なファンが多ければ多いほど新しい道へ開拓しやすくなり楽しいものになる。そしてファンを増産するためには「事」や「物」が必要である。

 ロドリゲスは確かに音楽活動を諦めた。しかし、彼はちゃんとアルバムを出していた。だからアフリカでファンを増産でき、素晴らしい転機が訪れたのだ。

 「釣りバカ日誌」のハマちゃんだって、ビジネス接待はあまりしないけれど、「釣り」を通じて「事」を売っている。だからハマちゃんのファンが増えて、事業の依頼が舞い込んでくるのだ。

 暑苦しく能動的に自分を売り込んだら疲れるし、売り込めなかったときの反動が大きいけれど、「事」や「物」を生産しといて、釣りのように気長に待つという限定能動は心身共にダメージが少ないからいいなと感じた。

 そしてロドリゲスの音楽に惚れた。結局、都市伝説の究明はされていなかったけれど、ロドリゲスのドラマティックな人生と音楽に胸を躍らせる作品でした。