「ナオト・インティライミ 旅歌ダイアリー」:TOHOシネマズ日劇にて

旅人の交渉術を撮る

「ナオト・インティライミ 旅歌ダイアリー」:評価90

監督:大根仁 出演:ナオト・インティライミetc

 

 「モテキ」の監督がワイルドな歌手ナオト・インティライミのバック・パック放浪旅の様子をキャメラに収めたドキュメンタリー作品。

 沢木耕太郎の「深夜特急」が好きな私にとって中身的にもテンションが上がる作品でした。なんたって、今までの放浪者エッセイではよく現地人との交渉の場面が目玉として描かれるが、生で見たことがなかった。その放浪者の交渉術やサバイバル術を魅せてくているのだ。たとえば、ナオトがエチオピアで怪しいラッパを買うとなる。商人は日本円8000円ぐらいで売りつけようとする。しかし、エチオピアの物価からしてその値段は法外である。ナオトは「安くしなければ買わんぞ」と脅して2000円ぐらいに負けさせたのだ。またまた、ナオトがコロンビアで親友のライブに出してもらうことが決まり会場に行ったとき、意地悪な警備員が「お前は通さん」と立ちはばかる。ナオトは「Why?」「~invite me!」「Only your idea」などと英語を乱射して相手を納得させた。そして歌はスペイン語だ。真の言語使いは相手を納得させる交渉術を持っている人なんだなと、ナオトにリスペクトの心を持った。

 どんなにアウェー感でも音楽と陽気さで異国の人とコンタクトを取り仲良くなるナオトの行動力とトライリンガルで会場を盛り上げ陽気に歌うナオトに興奮していたのだが、ただ一つ残念な点がある。

 それは、この旅の目的は「新曲を作るためのインスピレーションを得てくる」なのだが、帰国して作り上げた新曲が生ぬる過ぎたことだ。あんなにコロンビアやトリニダード・ドバゴなどで陽気で盛り上がる曲を披露していたのに、ボキャブラリーこそどこでも陳腐なのだが(ありがとうみたいな)、日本で歌った場合臭みがあって到底聴けたもんじゃないなと感じた。

 そしてその雰囲気をこの前までZIPというニュース番組でZIPPEIが密閉されてホットドッグになったのに暗躍していたダイスケがまねているのだろうとつくづく感じた。