「めめめのくらげ」:TOHOシネマズ六本木にて

新アート映画監督誕生!

「めめめのくらげ」:評価75

Jelly Fish Eyes

監督:村上隆 出演:末岡拓人、染谷将太、黒沢あすかetc...

 

 カラフルでユニークなキャラクターを作り出すポップアーティスト村上隆初監督作。岩井俊二の「打ち上げ花火、上から見るか?横から見るか?」や大林宣彦の「HOUSE」のような凄腕アート系監督の血筋を引くようなユニークな佳作でした。

 ストーリー概要は至ってシンプルというよりか、陳腐である。引っ越ししてきた青年がひょこんなことから謎の生物と出会い、いじめっ子を攻略するという「引っ越し少年もの」の定石を踏んでいる。しかし、何かがおかしい。映像のタッチは休日の午前中に放送されるようなチープな戦隊もののイメージがする。そして、くらげぼう(主人公が出会う謎の生物)とクラスメイトの所持する怪物とのバトルものになる。もろ休日モードだ。「金色のガッシュベル」的ノリだ。

 こんな休日の朝にでもやってください的なノリなのにどこか切なく心躍らせられるのだ。キャラクターが可愛いせいだろうか。どうも、監督は「間の撮り方」「音楽」「キャラクター以外の映像」が上手かったからこれほどまでに興奮したのだろう。

 エレクトロニックな浮遊感あふれる音楽と無音の使い分け、無音の中にざわめく少年少女のシャウト、エヴァンゲリオン風のカラフルで時に美しく時にグロテスクな絵。村上隆が長年培った芸術が観客の心を鷲掴みにすることに成功した秘訣だと感じた。

 そしてほどよいバイオレンスが少年の成長とくらげぼうとの友情を育む良い起爆剤になっていて、ありきたりの話なんだけれども心にぐっときて涙腺がゆるんでうるっと来ました。

 最近、どうも次回作の予告をするスタイルがはやっているのだろうか(「劇場版まどか☆マギカ後編」「映画ドラえもん2013」「アイアンマン3」で確認)、この作品も続編告知がエンドロール後行われていたのだが、一瞬、明らかにエヴァンゲリオンだろうと突っ込みを入れたくなるシーンがあった。村上隆なら岩井俊二や大林宣彦えいがレベルにまで凄い映画を作れる気がぷんぷん臭うため、あんましエヴァ寄りにならないでほしい。ともあれ、彼の美術センスに強いインスピレーションをいただいた作品だ。続編の技術革新に期待である。