「探偵はBARにいる2 ススキの大交差点」:丸の内TOEIにて

ふがいない探偵、シュールな戦闘す

「探偵はBARにいる2 ススキの大交差点」:評価95

監督:橋本一 出演:大泉洋、松田龍平、尾野真千子etc

 

 多くの大ヒット作品の続編は失敗するジンクスを背負っているが、これほど意外性とクールさを保ち興奮させる続編と出会えるのはまれであろう。というが私は残念ながら前作を観損ねた男故比較しようがないのだが、とにかくこのスクリューボール・コメディタッチのハードボイルドミステリーに感無量の衝撃を受け、そして興奮した。

 なんたって「太陽を盗んだ男」や「砂の器」、「仁義なき戦い」などといった昭和で男臭く、でもクールな雰囲気を魅せつつ、一切フィルム感を出さない新手の技を使っているのだ。そして、アクションシーンはジャッキー・チェンやジョニー・トー、「オールド・ボーイ」などといった韓国や香港の人と人が入り乱れる激しい混戦を描いているのだけれどアーティスティックで格好いいものを意識しているためか、中々邦画で観ることの出来ない本物のやくざ抗争の激しさを思わせるアクションを撮っていたのだ。

 これは映画マニアとして興奮しないわけがない。時折、陳腐なギャグやネタを挟むのだが、ド変化球を随所随所に仕込んでいるから油断していると笑いが止まらなくなるのだ。もちろん、昭和映画でよくあるむさ苦しいお色下シーンも健在で本当にサービス精神旺盛でした。そんなオタク好みのような作風だが、ちゃんと大泉洋目当てのお客さんや一般客も満足できるクオリティなのがこの作品の素晴らしい点である。やはり、マジョリティーの欲求も満たしてこそ続編である。

 こう書いていると、中身を軽視していると思われてしまうが、中身も油断しているとあまりの込み入り具合に驚くだろう。実は一見、一つ一つ順調に解決していく調査も裏があって実は明治文芸ものさながらのドロドロぐしゃぐしゃの人間関係が生んだ事件だったのだ。やはり、そこは流石探偵もの。予告編で大泉が言い放つ「探偵は依頼人、守らなきゃいけねえんだ」の意味が分かるときあなたは痺れるだろう。

 こんな傑作なのだが、残念ながら一つ決定的ミスを犯している。

 どう考えても、ガールズバーでの死闘にてバットで殴られた高田(松田龍平)が自分の傷を手であてているのだが、場所が可笑しかった。何故左側に血がほとんどついていないのか?残念だった。

 監督の橋本一は「相棒 X DAY」やこのシリーズで金を貯めきったのか、次回作ははっちゃけた「桜姫」というセクシー時代劇を作ったらしい。彼の本気に期待しよう。

 そして早く一作目を観なくてはとようやく自覚した。