「嘆きのピエタ」:BUNKAMURA ル・シネマにて

ギドクデビュー!!!

「嘆きのピエタ」:評価90

監督:キム・ギドク 出演:チョ・ミンス、イ・ジョンジンetc

 

 意外なことに、キム・ギドクの作品はまだ一本も観ていなかったので、彼の作品に初めて触れました。そして、韓国バイオレンス映画のクオリティの高さに今回も驚かされました。

 愛情を受けずに育ったバイオレンス人間が愛情を受けて悲しみに暮れる話はありがちである。しかし、そのありがちなストーリーに奥深さを描くことで監督は腕前を見せつけていた。

 まず、ほぼドキュメンタリータッチにすることでバイオレンス描写の痛々しさ度を上げている。しかも、全然直接腕が切られるところや殺すシーンを描いていないのにだ。恐怖を観客の脳内で作らせるというテクニックをみせている。

 そして主人公が自称母親の愛情を受けて正気に戻ったときに目撃する、貧困層の狂気じみた行動の描き方が怖い。例えば、主人公が借金を取りにある人の家に行く。家の人は借金に追い込まれすぎて、自ら「両手を切ってくれ、そして浮いた分の金を俺にくれ」と言い始め、自ら電動のこぎり台の上に手を置くのだ。その時の主人公の表情も何を考えているのか分からない顔だから余計に怖い。目を背けそうになった。

 この作品は、ラストにどんでん返しを用意している。何を語ってもネタバレになってしまうので是非とも観に行って如何に衝撃的かを確かめてみてください。