「塀の中のジュリアス・シーザー」:ギンレイホールにて

演技か素か?

「塀の中のジュリアス・シーザー」:評価70

監督:ダヴィアーニ兄弟 出演:コジーモ・レーガ、サルヴァトーレ・ストリアノetc

 

 映画で演じている俳優と舞台で演じている俳優って雰囲気が全然違う。映画の場合リアリズムが強調されるため、演技をしていても普段私たちが暮らしている様子がそのまま投影されているように見える。たまに、演技していることがバレバレの役者がいると「あの役者は大根だね」と言われてしまう。一方、演劇の役者は大声大胆な演技「The 演技してますよ」ということをアピールしている。おそらく、大きな劇場の総ての観客に状況を伝えるため大げさになったのだろう。この映画は、映画なのに演技らしい演技をする。しかし、違和感を感じさせないという一風変わった作品だ。

 ある刑務所で有志を募って「ジュリアス・シーザー」の演劇を一般客を呼んで披露するために特訓する様子を描いている。重要なことは、演目。「ジュリアス・シーザー」は裏切りと殺戮の話である。それを実際に囚人にやらせるという奇抜さ。しかも実話だ。案の定、役者はのめり込みはじめ、やがて度が過ぎ演技をしながら反発するという滑稽シチュエーションに陥る。

 中身的には仰々しくいかにもインテリな感じに描いているが、起承転結が薄いスポ根ドラマである。仲間が集まる→元気に失敗恐れず挑戦→対立→感動の本番という保守な構造を獲っていて、考えさせる前衛的作品がよく受賞する(「イン・ディス・ワールド」「マグノリア」「ラリー・フリント」など)ベルリン映画祭金熊賞ものにしては普通の作品でした。

 とはいえ映画の中で演技をしながら対立する様子やモノクロ感が独特でドンドンのめり込ませる印象派な作品なので飽きることなく楽しめました。