「マジック・マイク」:シネスイッチ銀座にて

レディよ萌えろ、マッチョよ燃えろ!

「マジック・マイク」:評価80

監督:スティーブン・ソダーバーグ 出演:チャニング・テイタム、

マシュー・ マコノヒーetc

 

 主演のチャニング・テイタムの自伝的ドラマ。この手のサクセスストーリーは、上り詰めるまでを描くのは容易だが、その容易さ故に描き方が問題となってくる。普通に描いてしまってはマンネリ化の渦に飲み込まれてしまう。また、この作品の主人公と役者が同一人物だけに、彼が物語を美化させすぎてしまう恐れがある。しかし、スコセッシやヴェンダース同様巨匠が描くとたちまち熱い喉越し抜群の作品と化す。これは、サクセスストーリーよりもストリップバーの臨場感を観客に与えるよう特化した作品なのである。ロボット・レストランに行ったときの興奮をまさか劇場で味わうとは思いもよらなかった。そして、ストーリーもだらだらと成功の過程を描くのではなく、華やかなストリップシーンとデカダンスな日常シーンを対比させて、深追いせずあっさりと終えることでクールさを維持させていたのだ。

 そんな映画のストリップシーンは舞台側と観客側の映像を交互に組ませることでライブのように盛り上げる事に成功してる。もちろん、魅惑のショー前注意・説明も行うから観ている私の心も揺さぶられる。工事員、警察官、ターザンといった様々なコスプレをして登場する男たち。彼らは、老いてゆくと時代にも置いていかれる危機を意識し、ありとあらゆるサービスでレディをもてなすのだ。ゲストが選出されて、男とゲストのコラボ企画が始まる。観客のキャーキャーとはしゃぐ声がアクセルとなり文化祭のような刺激的アクションがさらに熱くなる。そして彼らの成功はTバックパンツにこんもりと詰められたお捻りに込められる。夜の祭りは至福のパンツと共に地獄の朝を迎える。そのわびしさは、文化祭の終わりに近い。切ないのだ。

 さて後の祭りの世界はダンスシーンの華やかさとは打って変わってデカダンス極まりない。私は早く次の公演を観たくてしょうがなかった。しかし、これはあくまでも映画。本物観たければゴー・トゥー・ストリップバー。チャニング・テイタムの成長を描かなくてはならない。だから退屈なシーンを耐えつつじっくりと観察していく。するとチャニング・テイタムの苦悩が見えて、これまた切なくなるのである。

 一夜限りの一期一会。ちゃらい後輩の追い上げを恐れ、彼の奇行の尻ぬぐいをする。迎える朝はハングオーバー。こんな生活は本当の我ではないと、彼は家具ビジネスを始めようとする。チェ・ブンブンも興味津々なユニーク家具を作る才能がある彼なのだが、銀行からの融資は門前払いの連続。これほど虚しいものはない。この虚無感がアクセントとなり次の公演の熱気を上げるのだ。

 荒削りながらも、スコセッシの「ザ・ローリング・ストーンズ:シャイン・ア・ライト」を彷彿させるような臨場感、主人公の哀愁漂う人生を文学的に綴りきる。そんなマッチョ的作品に俺は惚れちまったぜ!

シネスイッチ銀座では、こんなマッチョと記念撮影コーナーもあるぞ!!