「地獄でなぜ悪い」:TOHOシネマズ船橋ららぽーとにて

極限に死亡遊戯!

「地獄でなぜ悪い」:評価90

監督:園子温 出演:國村隼、友近、星野源、板尾創路etc...

 

 昨年、震災しんみりムード映画を撮り自分らしさを出し切れてなかった園子温監督が本気を出した!10年以上煮詰めてきた計画を、知名度でもって最強の役者を揃え実行した地獄がまさにこれである。副題の「WHY DON'T YOU PLAY IN HELL(地獄を楽しまないでどうするの?)」にこの作品に対する意気込みが込められている。

 そしてタラちゃん映画を思わせるほどの映画愛たっぷりのオマージュ、それもただコピー&ペーストするのではなく、きちんと園アクションへと変換していたので映画好きをあっと言わせる爆笑を生み出すことに成功していた。

 さて、ストーリーだがどう考えても映画好きの学生が考えそうなインディーズ寄りの代物である。やくざのドンが、自分の命を守ってくれた代償で投獄された妻のために娘を主演に映画を撮ろうとする。しかし、プロの映画監督に依頼しても思う通りの作品が撮れず「あとちょっとでで妻が出所してしまう」焦燥感を抱く。そんな最中、主演である娘は逃走。娘はすぐ見つかったが、よく分からぬ男を連れている。娘は、勝手にその男を映画監督に命名したが故、彼は修羅場を迎える。映画を完成させなきゃ殺されてしまう。しかし、映画の神様は降臨するものである。アマチュア映画を撮り続け、早10年、もうそろそろ本格映画人デビューしたい集団を彼は見つけ出し依頼する。やくざのドンは、妻の出所まで時間がなかったので、やけくそで只今抗争中の敵のアジトへ乗り込む様子を早速映画化するのだった...

 やりたい放題の修羅場の連続で爆笑が止まらない。筆者は「中学生円山」を観たときのようにむせました。「悪名」や「極道の妻たち」「仁義なき戦い」の世界に引きずり込まれる、撮影スタッフ。「ニュー・シネマ・パラダイス」のように目を輝かせる監督・撮影軍。平成のブルース・リーになるため「死亡遊戯」の格好で未来を模索する男がいる一方で、明らかに園映画に似合わない星野源が二階堂ふみに拉致られ、極道の世界に引きずり込まれる。DQN,DQN,DQNに咲く一輪の白百合が鮮血に染められていく様子がものすごい楽しかった。地獄って高みの見物をするとこんなにも面白い。園子温の本気を楽しく観させてもらいました。

 残念なところと言えば、中盤急に失速したところである。「愛のむきだし」のように、序盤から複数のストーリーを組んでいき、昭和任侠もののように荒々しく漢臭い映像で観客をグイグイ引き込んでいったのだが、今回は登場させる人物が多すぎたためか、竜頭蛇尾感を感じさせた。しかし、ラスト30分で描く抗争撮影シーンで楽しませてくれるからそこは我慢である。待って待って待って、運ばれるメインディッシュは、「パール・ハーバー」を思わせる凄まじさ。前半の長~い予告編の期待を裏切らない映画愛に溢れたチャンバラ銃撃戦にあなたの腹は満たされるでしょう。

 それにしても、園監督中学生に観てもらいたいからってPG-12と偽っちゃダメでしょうw「ヒミズ」同様、容赦ないバイオレンスが繰り広げられてよゆーでR-15級の作品に仕上がっていました。園のPG-12に気をつけろ!