「私が愛した大統領」:TOHOシネマズシャンテにて

スキャンダルがいっぱい!

「私が愛した大統領」:評価70

監督:ロジャー・ミッシェル 出演:ビル・マーレイ、ローラ・リニーetc

 

 僕もこの事実をきいて驚いた。世界恐慌をニューディール政策を用いて乗り切ったルーズベルト大統領は足が不自由だったということに。そして、この作品は吃音に悩まされるジョージ6世がヨーロッパ戦線の援助依頼に数少ないパーティでアメリカを訪れる緊迫の数日を描いた話である。互いに弱点を知らないいわば大富豪で相手の手札を窺っている状態で、両国のプライドを見せつけあうから非常に興味深い心理戦と言えよう。

 しかも、その心理戦だが大統領は大らかかで相手を信用しようとしているのに周囲の人物の圧力や策略が作用し誤解を多発させているのだ!

 例えば、2日目の昼食。貴族意識の高いイギリス人にとって手食かつ野蛮な形・名前を持つ「ホット・ドック」をアメリカ側が提供するというのだ!しかも、ジョージ6世が止まる部屋にはイギリス人がアメリカを制圧する風刺画を飾ってあるではないか。それが、確信犯で行われているので驚きである。

 グローバル化し互いの文化を理解しようと努める現代において国のトップがこのようなことを行うのは無礼極まりない。そのような醜態が世に知らされなかったのはマスメディアがまだ発達していなかったお蔭と言えよう。今だったら例えば、オリンピック委員会にある国の代表が接触を図り賄賂など渡そうとしたら、パパラッチやスパイ、ジャーナリストの盗撮・録音でもって制裁が下るであろう。しかし、情報伝達が未発達だったからこその利点もある。現代だったらジョージ6世の吃音やルーズベルトの足の不自由さは、ゴシップ誌やSNSで簡単にひけらかされてしまい、彼ら(特にルーズベルト)が心配する国民の期待を大きく失ってしまう事態が巻き起こってしまう。

 最近の日本の政治は、何か不祥事が起きたら、自分に不利益なことが起きたら、すぐSNS等で叩かれる。それ故に、折角国民のために総理大臣や国会議員が煩雑で難しい問題を解決しようと努力しても、何でも批判されるので鬱になり挫折していく。誰しもが発信者である今、私たちはいかに人を外見やバックグラウンドに偏見を持たずに信頼できるかが試されている。この作品を観たら少し自分を省みり、他人を信用する心を確かめることをお勧めする。