「パッション」:TOHOシネマズスカラ座・みゆき座にて

デ・パルマ、ヒッチコックにメガシンカ

「パッション」:評価100

監督:ブライアン・デ・パルマ 出演:レイチェル・マクアダムス、ノオミ・ラパスetc

 

 ブライアン・デ・パルマはアルフレッド・ヒッチコックに非常に影響された監督である。多くの作品において女が悪女と化し大惨事に見舞われる。足フェチなのか、「サイコ」のモーテル店員のように覗き趣味があるのか、デ・パルマショットから漂うフェロモンは凄まじい。園子温も自伝で語っていたが、犯罪は映画で撮ると褒められる。現実でやりたくなったら映画でやればいいじゃない。それはデ・パルマももちろん実践している。そして、今宵鑑賞した「パッション」はデ・パルマの集大成。「悪魔のシスター」や「殺しのドレス」等で磨いた技術を用いて、女性を豹変させた。金髪女性をスタイリッシュに映画の中で豹変・抹殺したヒッチコックのように。

 ある会社の女上司と部下。部下はスタイリッシュなアイデアをひらめくが、上司に奪われてしまう。そしてラブラブになった彼氏との関係を壊されそうになる上、彼女の醜態を社内パーティでひけらかされてしまう。ここは100倍返しといきたいのだが、そう簡単な100倍返しではなかった。

 あっさり、解決したかと思えばどんでん返し、それだけなら容易に想像つくが、さらに2度程どんでん返しを仕込むから驚きだ。ヒッチコックの「めまい」のように現実と空想が入り乱れる。デ・パルマショットで事件の経緯を途中で挟むから、観客は総てを見ている感覚に襲われるから、彼のトラップにまんまとひっかかる。あからさまな伏線を魅せつつ、煙に巻いて観客に「あれ、違うんだ」と思わせといて、後ほど別な形で姿を現す衝撃。予告編で語られる「女の敵は女」の本当の意味を知ったときの衝撃は快感である。今年の外映画洋画部門は、惜しい映画揃いで、暫定1位は文芸ものの「華麗なるギャッツビー」だったが、これで安心した。海外での評判は芳しくないようだが、私はこの劇薬をゲキ推しする。

 そして、だまされる快感と、普段上司に刃向かえず溜まるストレスによる快感のダブルパンチに私の鑑賞した回にいたサラリーマンたちもご満悦のようだった。そうか、何故「半沢直樹」がヒットしたかは、日頃自分ができない暴力をテレビが代行してくれているからか!あっつ繋がった!