「25万で欧州を放浪した高校生(仮)」

五日目 パリからTGVで2時間、ここど~こだ?

 Gare de Lyon...

フランス語の授業でこの単語が流れると、セピア色になって一年前を思い出す。「ガードゥリオン?」必殺技のような響きに魅せられた。フランス語はカフェ・オ・レやア・ラ・カルトみたいに、一見ひとつの単語のように見えても熟語だったり普通の文だったりするので驚かされる。ガードゥリオンのスペルは冒頭に書いたとおりだ。ゲールドゥリオンというとリヨンの戦争になってしまうので要注意だ。リヨン駅は「ガードゥリオン」だ。よく、フランス人先生に「ソレハセンソウデスネ」と嘲笑されてしまう。ガードゥリオン、ガードゥリオン、ガードゥリオンもう僕は戦争なんて言わない。

 さて、パリから本当にリヨンに行く日が来た。エムさんが娘のヴァカンス迎えに行くため僕もリヨンの旅路に同行した。ガードゥリオンと言えば、「Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!」でビーンがカンヌ旅立つ、始まりの町ではないか。もちろんチェックしたぜ、ビーンがネクタイを詰まらせた券売機。きちんと稼働してたぜ。

 東京マルイのエアガンクオリティの高さに気づかされる。ガードゥリオンを警備する兵士の装備する銃がエアガンに見えてしょうがない。僕の通う大学の学園祭では、サバゲーサークルの民が軍服でうどんやらチョコバナナやらを購入する微笑ましい光景が見られるが、そのコスプレ集団とこの兵隊さん対して変わらないのだ。これがジャパニーズクオリティなのか?実銃がない分リアルなのか、チキンが先か卵が先かのようなクオリティ合戦を垣間見た僕でした。兵隊さんは日本のコスプレと戦わず悪と戦っているのだがね。

 ガードゥリオンからTGVで2時間。都会もあっという間に壮大な田園風景。そういえば、初日に上野からスカイライナーで成田空港まで行ったが数十分で田園風景を見ることができる。時代はどこでもドア時代に近づいているんだなと身に染みるのだ。リヨンは茶色の煉瓦と天井にある青い海とのコントラストが絶妙な街だ。実際にリヨン歴史地区は世界遺産の文化遺産でもある。山の方に行くとフルヴィエールの丘という遺跡があり、グラディエーターたちの死闘の場となりそうな劇場もある。なんて熱いんだ。そんな浪漫ある丘に登ってみたい。僕はエムさんとその娘に誘われフルヴィエった。

 奇遇にもフルヴィエールの夜前日だった。フルヴィエールの夜とは夏場にリヨンで行われる音楽フェスティバルのことで無料で古風な空間を凌駕する岩メロディーを愉しむことができるのだ。この日はリハーサルが行われていた。グラディエーターは消滅セリ、ロックは不滅ナリと言わんばかりの波に僕の心は踊らされる。僕も音楽センスがあったら、こういった会場でギターを弾きならしたい。サンボマスターを叫びたい。コンプレックスは夢に現れるものだ。僕はこの2日前、火の見櫓の上でサンボマスターの「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」を全裸で熱唱した夢を見ゆ。音楽を欲すると音楽がひょっこり顔を出す。正夢って実は本人が無意識に欲しているから、それに応えるようにひょっこり正夢の内容が現実に出てくるんだなとその時感じた。想像できるものは実現するってよく言うけど、その理屈と似ているな。私は結果として、音楽家としては活動できていないけれど先日、エアギター動画作成、ロックなビブリオバトルや学際でのノリノリ旅行発表を行った。舞台でロックをすることはないが、ロックパフォーマーにはなれたようだ。歌やギターは下手だけど発表で人々を盛り上げたい。教壇のロックスターになるぞと1年後に思うのであります。

 フルヴィエールの丘から順繰り下っていくと見晴らしのいい場所が出現する。ヒューマンストリームに珍しく従った僕が、その見晴らしから目撃したのはきっきっきのこぐも~!古風な街の空気を読まずに暴れるきのこ雲である。そして、そのきのこ雲を排出するのは原発。ヨーロッパの原発は円柱の上から煙がもくもく出る仕組みで、3.11を経験した僕には放射線物質お構いなしに垂れ流しているようにしか見えず恐れおののいた。まあ、地震ない国だとしても、テロがあったら一発でこの世界遺産が消滅する。原発を維持し続けることは、とんだエクストリームスポーツだったのだ。

 なんと、原発見える見晴らしに設置されているリヨン紹介絵図にはさりげなく原発の絵が描かれていた。15番の数字の横にひょっこり見えるのが原発である。もちろん、説明書きはない。でも絵は描くのか。世の中は複雑なり。僕の人生も複雑になってきていることはまた今度話すとしよう。明日は、世界最初の映画が誕生した地に行くぞ。

次回、映画好きは聖地を巡るの巻。