「25万で欧州を放浪した高校生(仮)」

八日目 フリーター、エロビデオを買う

 なぜ、こんなタイトルにしたのか?高校生のくせに。ニートじゃねと思うが、僕は断固としてフリーターと言ってみる。テストで稼いでいたからだ。僕の家では、テストの点数2教科以上で90点以上取ると親から賞金が支払われるシステムだ。旅行の小遣い欲しさと、信頼欲しさに僕の高校時代は荒稼ぎの日々だった。テストが待ち遠しかった。もちろん、読者の中には「学びに対する、やる気が落ちないか?」という疑問も浮かぶであろう。現に僕の妹には通用しなかった。僕はスイッチはいると好奇心を広げていくタイプだったので、沢山小遣い稼ぎしました。そのほかにもニキビの治験をしたり、映画館代は試写会で削減するなどして、稼ぎを増やし貯金した。おまけに両親は僕の今まで貯金していたお年玉を使っていなかったらしく、高校3年生の時には100万近くの貯蓄があったのだ。故に、ある種フリーターと言えよう。部活で社会規範をトレーニングしてたし、勉強もしていた。就労はしてなかったがニートではなかろうと言ってみる。

 さて、そんな僕が小遣いで買おうと目論むのは伝説のエロ映画、いや巨匠大島渚の代表作「愛のコリーダ(無修正版)」だ。この作品、9割がプレイシーンだ。そして書籍も出版されたがこれはわいせつ物頒布罪で訴えられ、無実にはなったものの、日本では修正版のカットが公開され、高校生だった僕にとって完全版を観ることが絶望的な代物だ(2000年版だと無駄にぼかしが入っているらしい)。大島渚はカンヌ国際映画祭の常連で、「愛のコリーダ」もそうだが、チンパンジーと女性の情事を描いた「マックス、モン・アムール」もフランスで制作されている。故に完全版がフランスにあるだろうと考えていたら、リヨン旅行前のパリで発見。映画館で見つけたのだ。アキ・カウリスマキDVD-BOXを買うか迷う。なんたって、18歳になったとはいえ、ピンクの暖簾をくぐったこともこともない男がエロビデオを買うのだ。「スーパーバッド 童貞ウォーズ」の童貞たちが未成年なのに酒を買うレベルの緊張感。ひとまず、次の映画ウディ・アレンの「ローマでアモーレ」観るまでの1時間カフェで思索。

 おしゃんてぃなカフェ、映画館から徒歩3分でブーランジェ(実はパン屋だった)が作るタルトの甘酸っぱく口で外側のカリカリと共に花火をあげている。体は、ゴージャスに包まれているが内面ではエロティックな対話が繰り返される。

 アキ・カウリスマキはTSUTAYA渋谷店でVHSでならあるぞ!ただ、「愛のコリーダ(無修正版)」は日本じゃ観られない。手元でつなぐWi-Fi。iPod Touchの画面は描く語りき「卵の使い方がすごい」!なんやねん。これは映画人として観なければ、パッケージも「和」。赤バラの咲き乱れる感じがお洒落だぜ。「愛の亡霊」も付属しているしね。中学時代は基礎知識を蓄える時期だったためか、トリュフォー「大人は判ってくれない」、エイゼンシュタイン「戦艦ポチョムキン」、ジャームッシュ「コーヒー&シガレッツ」などといったDVDを集めていたが、金の無駄だと思い、高校時代はまず買うことはなかった。現在、高校2年生の時にイメージフォーラムで18禁で公開されていて、DVD化はされているがTSUTAYAレンタルが一切されていないがシュヴァンクマイエルの「サヴァイヴィング・ライフ 夢は第二の人生」を買うか否かで迷い中だが、非常に悩んでいた。

 とりあえずペンディングだと、僕は1時間悩んだ末「ローマでアモーレ」を観ることにした。

 

 日本の映画館の椅子は、一人がけがほとんどだが、ここmk2は二人掛けもある。また、シネコンにも関わらず自由席である。また日本の映画館では9割上映直前に、カメラ男による盗撮禁止ビデオが上映されるがどうやら、そういった警告ビデオはここにはないようだ。「007/スカイフォール」が10月に公開されるためか、この前ここで観た「ダークナイト・ライジング」「ホーリー・モーターズ」でもスカイフォールの予告及びコカ・コーラとのコラボCMが放送されていた。さて、肝心な「ローマでアモーレ」は...2000年代以降のウディ・アレン映画はどれも面白いがこれは格別。英語字幕で観たのだが、腹筋崩壊しそうなぐらい笑った。特に「風呂場」で歌うと確かに音が反響して上手く聴こえるが、オペラ会場にシャワールームを持ち込んで、体洗いながら歌わせる描写の切れ味に興奮した。最近、役者として映画に出ていなかった監督だが今回は本腰入れて再び弱腰おとぼけ役を好演していた。映画に興奮した熱と勢いで見事に「愛のコリーダ(無修正版)」を購入して満足げに帰路に向かうのだった。

 ちなみに、後日自宅のパソコンで鑑賞(日本のテレビでは観られないが、パソコンだと観られる。ここは完全に日本の機械で観られないアメリカのDVDに勝るところ)。本当にエロシーン大全集だった。様々なシチュエーションでSMプレイが繰り広げられる。阿部定事件の当事者もビックリだろう。しかし、どこかエキゾチックで文芸的な雰囲気。キネマ旬報ベスト10に選ばれたのも観進めていくうちに納得してしまった。無修正版に収録されている問題の「卵シーン」については言わないでおこう。ドン引き、あまりの壮絶さにここにお伝えすることは不可能だ。ピンクの暖簾ワールドを知らぬ私には衝撃的すぎる官能の世界でした。

 パリと言えばエッフェル塔に次いで凱旋門がシンボルであろう。しっしかし、観るに楽しされど歩くに辛し、そのことを忘れるべからず。凱旋門の周りには無数の横断歩道がある。しかも赤信号みんなで渡っても怖い程、フランス人のドライヴィング・テクニックは荒い。もしフランスに来たら車を見てみよう。どこかしら凹んでるはずさ。それがこの国のドライヴィングにおける貫禄っちゅう奴だ。

 屋上に上る気はなかったので凱旋門の真下に行ってみて我慢。地下通路を通って出てはみたものの、写真が撮りづらい。旅行初日に出会ったサウジアラビア人との出会いを懐かしむべく、アラブ系の旅行者にアタック、撮ってもらうもいまいちだ。はやり遠くから見物した方がよかろう。そして、僕の行きたい方向と逆回りに進んでしまい200度くらい凱旋門を周遊したが、とにかく信号が鬱陶しい。多すぎるし、タイミングよく僕の渡る瞬間に赤信号になるから20分かかった。凱旋門の周りでは地図を凝視しよう。

 ちなみに「周りをよくみよう」というメッセージは明日のエッフェル塔巡りをしている僕には伝わらなかったようだ。つづく...