「25万で欧州を放浪した高校生(仮)」

十六日目 大英博物館はかく語りき

 イギリスの公園では、鳥の豊かな営みを見ることができる。まるでピーターラビットの作者ビアトリクス・ポターが住んでいた世界観を共有しているかのようだ。さて、今日訪れたのはキューガーデン。ユネスコ世界遺産に登録されている植物園だ。その広さといったら、想像を遥かに超える程だ。行けども行けども、自然。村10つ入りそうなその植物園で、鴨が追いかけっこしている。かと思えば、右からクジャクがこんにちは。リスがエサを求め東奔西走している。

 熱帯園では、サボテンが沢山生えていた。サボテンってコミカルで面白い。そういえば教育学者の尾木直樹は幼少時代にサボテンを集めていたが、その気持ちもよく分かる。マッチョ的トゲトゲを宿しているのに、緑色で丸みを帯びたボディに滑稽さを感じる。沢山並んでいると、埴輪のように見える。そっか、埴輪の滑稽さを連想するからサボテンを見ていると愉快な気持ちになるのか。そういえば、サボテンはメキシコで食べられるそうだ。昔、キッザニアで旅行会社入社体験をした時にお姉さんに教えてもらった。どんな味がするんだろう。肉厚だけれどレタスみたいな味がするのかな。熱帯園にいる間、ずっとサボテンについて考える僕であった。

 大英博物館にやってきました。今回は、博物館近くの地下駐車場が空いていたため、すんなり駐車することができラッキーファミリーでした。

 大英博物館は実はタダである。それでもって、ルーヴル美術館に引けをとらない規模だから驚きである。幼少時代に集めていた大英博物館フィギュアの実物を見ることができて感動だ。ミイラポットの不気味な顔、ロゼッタストーンなどに興奮していたら、顔なしスフィンクスと遭遇。もちろん、ここも写真撮り放題なため、早速ネタ写真作りに挑戦。少年たちの笑いを取りつつ、スフィンクスの顔になってみた。角度が難しいらしく、5回ぐらいやり直しした。周りの客の笑いなど海外では気にならない。日本では出来なかったことが出来るのである。そういえばイタリアのベローナに行った時、ジュリエットの家(察しの通り、ロミオとジュリエットの後者の家である)に飾ってあるジュリエット像があった。この像の胸の部分を触ると恋愛成就するからと、満面の笑みで触った写真を撮り、群衆の笑いをかっさらった思い出がある。この像、多くの人が胸を、しかも左胸を触るため、そこだけ白く変色していて無駄に気持ち悪い。もしイタリア・ベローナを訪れたら、是非その悲惨なブロンズ像を観に行って下さい。

 

 彫刻とのツーショットは物語を作りやすく、面白い写真を生み出せるため気に入っている。しかし、日本の美術館では基本的に撮影禁止である。しかも、メモを取るときですら自前のボールペンは使えず、館内貸し出しの鉛筆を使わせる所が多いから参ってしまう。私は「写真論」の授業で出題されるレポート課題をこなすために、最近写真展に赴くが、写真も自前ペン持ち込みも禁止されているため毎回苦労している。実は私は自分の物に愛着を持ってしまう性格であり、貸した物を使う気が起きないのである。また、写真を撮れないため、メモ代わりとして写真を撮ることが出来ず、メモと記憶力を使わざる終えない。日本人は海外に比べると、そこまで派手な罪を犯さないのだから、博物館・美術館よもうちょい規制緩和して欲しいな。もし規制緩和されたら、面白彫刻写真家になろうかな?

 さて、イギリスポンドはもう滅多に使うことがないだろうから玄界灘まで使い込む。それにしても、オリンピックシーズンだからかポンドが150円台と苦しい局面だった。そして80イギリスポンドも博物館で使うとは思わなかった。もちろん、買ったぜロゼッタストーンTシャツ。ロゼッタストーンの文字で埋められたTシャツ着ていると、結構絡まれます。旅行先で服を買えば被らない。下手に大手服屋で買って他人と被ってがっかりしたくなければ、海外で買うのも一つの手かもしれない。

 そんなこんなで、全然ロンドン観光せず名残惜しいが明日ロワールの古城巡りを敢行するために国外脱出する。またイギリス訪れてみたいな。古風なお化け屋敷「パサヘ・デル・テラー」やピーターラビットの聖地、ビートルズのアルバムジャケットになったアビイ・ロードなど行けなかったところが沢山ある。アメリカに比べると闊歩しやすかったのもあったので絶対行こう。トライアスロンの日に一目惚れしたあの娘に会えるかもしれない。限りなく0に近い確率に胸を躍らせながら、ユーロトンネルは僕たちの車を飲み込む。やっぱり、ユーロトンネルは面白い。ドーヴァー海峡を知らぬ間に駆け抜け、帰ってきたチェ・ブンブン。再びフランスの地を踏む。あの懐かしい色を再び手にする。国を少し離れただけでこれほど違うものかと驚かせられた。そして、さらに驚いたのは、僕がフランス語でエヌさん一家代理で説明しないといけなかったところだ。と言っても、ホテルのチェックインみたいな高度なことではなく、レストランのメニュー解説だ。少年たちが、デザート欄を見て「フロマージュ」と叫ぶ。いやいや、チーズだけれど。アイスだと思っていた少年たちは、「あぶね」と別なものを頼む。僕のフランス語能力はこの度でレベル5からレベル6に進化したようだ。今は?レベル10ぐらいかね。レベル100への道はポケモンを「ふしぎなあめ」を使わず地道に育てるくらい長い道のりである。フランス語会話集を所持しとけば良かったとちと後悔しながら、明日の古城巡りに備え早寝するのでした。