「25万で欧州を放浪した高校生(仮)」

十九日目 猿の博物館

 エヌさん一家の家に行く日が来た。ドイツに行くぞ。あれっつ、ベルギー通過するからブリュッセルで小便小僧観られるじゃんと思いきや、エヌさん一家既にこのバカンスで行っていらっしゃった。残念。ということで、ドイツにあるネアンデルタール人博物館に連れて行ってもらうことにしました。旅行数日前に読んだある本でオススメされていた博物館だ。猿人専門の博物館で、面白い猿人人形が沢山展示されているとのこと。博物館はメットマンという地方都市にある。観光地という観光地はここ、ネアンデルタール人博物館ぐらいしかないので、こういった一人旅でしか行けない。それなら行くしかないでしょ。実はメットマン、ネアンデルタール人の化石が発見された地であった。

 箱根のような森と坂の道路をワーゲンが疾走する。本当に周りに何もないと思った矢先、いました猿人。ドイツは所々お茶目なところがある。いろんな猿人像やポスターが僕たちを迎えてくれた。そして、エントランスに行くと、20日前に観たあのネアンデルタール人がいるではないか。会いたかったぞ、久しぶりネアンデルタール人と彼に僕は敬礼をする。本当にリアルだ。本の写真は白黒だったので、カラーの彼と出会うのはお初だったが予想通り茶色の服を身にまとっている。まじまじと僕を見つめるネアンデルタール人。見つめていたら少し恥ずかしくなった。さて、どんな猿人と出会えるかな。

 僕の左にいるのはサラリーマンではありません、おじさんでもパパでもありません。もちろん、エヌさんでもない。では、誰か?ネアンデルタール人進化形である。どうやら現代でネアンデルタール人が働いていたらこんなんだと言わんとしている像がさりげなく置かれている。てっきりドイツのおじさんかなと近づいてビックリ。ここの人形は無駄にリアルだから通行人、うっかりぶつかるのではと思うほどだ。

←ネアンデルタール人の顔、暑苦しい政治家みたいだ。

 ネアンデルタール人は器用だった。それを体験するコーナーがここである。木の棒を使って障害物多いケースの中に溜まっているフォーチュンクッキー紛いの菓子を救い出す無人アトラクションだ。エヌさん一家のチビたちと買い占めようと頑張った。30個あるフォーチュンクッキーもどきを救い出すのは至難の業。手首が疲れるので交代で挑戦。めっちゃ時間かかった。しかも、フォーチュンクッキー味ないし。ぱさぱさだし。おみくじもないし。10分後半分ぐらい手に入れたところで諦めた。ネアンデルタール人のように死と隣り合わせの状態でない限りこのミッションを成し遂げるのは無理だそうだ。

 僕たちはパサパサのそれをポケットにパンパンに詰め込み、猿人動画集を観ながら頬張った。味ねー。のど渇くし。カルメ焼きを食べるかの拷問だ。カルメン故郷に帰る。僕のポケットから元の位置に戻ってくれと思う様であった。つまらぬ能力を使ってしまったとプチ後悔した。

 そんなこんなで、ネアンデルタール人博物館を満喫した僕らはエヌさん一家の住むヴォルクスブルクへ。今回の旅は何故か発電所を巡る旅かと思うほど、風車と原発の遭遇率。数日に一回は目撃しているだろう。今回はドイツの原発を観た。丁度、筒から雲を生産しているところでした。幼稚園児に見せたら、きっと「雲は工場が作っているんだー」と勘違いしてしまうほどに雲らしい雲が生産されていて面白い。今日も元気に核融合している太陽からみたら、精々がんばれと嘲笑するだろうヒトによる生産活動を横目に見つつこっくり僕はおねんねするのでした。

 国が隣にも関わらず、陸続きにも関わらず、これ程の違いが現れるとは。フランスでは雲は少ないなと感じた。飛行機雲が多く、雲の位置も地上から遠いように感じた。しかし、ドイツは違う。近い、そして沢山の雲が浮遊しているのである。まるでマグリットの絵を見ているかのようなユニークな雲々に僕の胸は驚かされた。そして、一見デンマークの市庁舎のように古風で厳つい建物が実はデパートだったり、時折ユニークなアート作品が街中に配置されていたりとドイツ人は意外とお茶目だなと感じさせるところが数多く存在した。不思議の国ドイツに迷い込む私の明日は如何に?