「25万で欧州を放浪した高校生(仮)」

二十三日目 帰還を祈るミサの日

 明日はいよいよ帰国の日。土産を買わなくてはとガイドブックをめくっていると、エスカルゴのミニテリーヌを発見。パッケージがおしゃれである。ふむふむ、どこで買えるのかな?「ラ・グランド・エピスリー・ドゥ・パリ」で買えるらしい。東京でいう三越みたいなデパートである。この時期、例のごとくヴァカンスシーズンなので油断できないと。エムさんのパソコンを借りてサイトに飛んで休日情報を確かめる。念には念を入れて、エムさんににも確かめてもらう。どうやら営業しているらしいとのことで、いざ出陣。そして、そんな努力の甲斐は一瞬で流される。なんと、営業していなかった。原因はヴァカンスシーズンを利用した改装工事だ。明日からオープンって帰る日じゃん。今日のターゲットを失い、何をしようかと迷って地図を眺めると、「奇跡のメダル教会」という怪しげな名前の建物を見つけた。どうやら、メダルを買えるらしい。旅行の土産と言えばメダルは男子の定番である。これは買うしかと、教会を目指した。そして、知る由もなかった。めんどくさい業務に巻き込まれるとは。水曜日にも関わらず、ミサが行われていたのだ。そして、会場時刻になったのか沢山の人が建物に入っていく。そのヒューマン・ストリームに巻き込まれ、僕も建物の中へ。こちらに座りなさいと係員の指示の下座った。そして、フランス語で書かれた宗教歌の歌詞を配られた。いや、僕キリスト教じゃないし。ミサ興味ないし、メダル買いたいし。そんな僕の不満は解消されることなく、プリズン・ブレイクもできずミサは始まってしまった。

 まるで、小学校の卒業式のようなミサだった。

 まず、お偉いさんのあいさつから始まる。時折周りの民がアーメンと言うがタイミングを掴むのは至難の業で、一人だけ間抜けたタイミングでアーメンを言ってしまう。こういう時は黙っておきましょう。歌の箇所が来た。これは歌詞があるから歌えるぞと思っていたら、低音・高音部分があるのかお偉いさんが歌う部分と周りの民が歌う個所があるらしく、僕はどっちを歌えばよいのか分からなかった。仕舞には、どこを今歌っているのか見失ってしまい、結局最後までキリシタンになることはなかった。

 さてミサと言えば映画「TOMMY」によると、お煎餅みたいなのを食べるらしいと僕の頭は記憶していた。もしかしたら、この後お煎餅が食べられるかもしれないと思っていたら察しの通りお煎餅タイムがやってきた。前の人から順にお煎餅を食べさせてもらうプレイが行われていた。僕ももちろん並んでいただいたぜ。しかし、味がない上に歯にへばりつく。赤ちゃん向けのお菓子が粗悪になったような代物に僕はすっかりげんなりした。ミサが終わると、メダルがもらえるかもという期待も打ち砕かれ出口へゴー。2時間にわたるミサ体験をしたに過ぎなかった。

 

 気を取り直して土産買いへ。雑貨屋でベルギーは貫通しただけだけれど、タンタンのトランプを買っていかにもベルギーに行った感を演出。そして、スーパーでエキゾチックなお茶っ葉を購入。実はこの葉っぱ。1年後に有楽町の丸井の特別ブースで販売されていた。それを観た私は懐古するのだった。やはり、人生暴れていると思わぬところで再会イベントが発生する。そのミステリー小説でいう伏線が回収されるシーンが好きだ。

 さて紆余曲折あったが無事残りの土産も購入でき、少し遅い昼ご飯。ずっと気になっていた、フランスのファストフード店「Quick」に行く。僕はファストフード店が苦手である。合理化され過ぎていて愛情のない接客、早よ注文せよと言わんばかりの接客にお客である私は疲れてしまうからである。そして、フランスのこのファストフード店の接客も雑でげんなりした。まあ、この手の注文はスライムを倒す並にちょろいから、無事にフィッシュサンド、そしてジュースをコーラにされることなくスプライトで押し切りました。味はというと、さほどマクドナルドのフィレオフィッシュと変わらなかった。ポテトに関してはモスバーガーのホクホク感とマクドナルドの細さ、量を足して平均化したようなクオリティでした。うむ、可もなく不可もない中途半端な店だと言えよう。

 そうこうしているうちに、日も暮れ、僕のラストパリは失速気味に終わってしまった。エムさんの家で荷造りがてら、この旅行にかかった費用を計算したら、前半で語ったように25万円を切っていたので驚かされた。てっきり、50万円くらいかかるのかなと思っていただけに衝撃だった。その報告をするために、僕は成田に向けて旅立つぞ。

 最後の戦いの幕が開こうとしていたのだった。