2013年 家映画ベストテン発表

邦画部門

第一位:「SR3サイタマノラッパー3 ロードサイドの逃亡者」

 僕のiPhoneには、サイタマノラッパーのサントラが入っている。1作目のおふざけ感ある5人組SHO-GUN時代の曲から3作目で進化、2人だけになったSHO-GUNが悪蔓延るラップバトルオーディションでであった征夷大将軍とコラボレーション、遂にしょぼラッパーに光が差す。一方、1作目でSHO-GUNを去り上京したマイキーはヤクザなラップ集団の下っ端で辛酸をなめる日々。この対比、そして出会うまでの「ユリシーズ」に匹敵する感動は計り知れない。ラップのキレ、入江悠監督の独特なギャグセンスに笑いと涙があった。昨年、映画館で観なかったのが非常に悔やまれた作品でした。

 

第二位:「スーパーの女」

 接客とは何か、おもてなしとは何かについて熱く考えさせられる作品。

 スーパー大好きなおばちゃんが、しょぼ経営のスーパーを建て直すために奮闘する話。2000年代に入って定期的に食品偽造のニュースが話題になったが、その食品偽造の実態をブームになる数年前に暴き出しているところがミソ。それを抜きにして、如何にしてお客さんにリピーターになってもらえるか、好感度を上げられるかを考えさせられた。考えさせられるだけでなく、宮本信子の機敏な動きに注目、そして柴田理恵を探せをするとなお楽しめるであろう。どんだけ常連なんだw

 

第三位:「大人の見る絵本 生まれてはみたけれど」

 小津安二郎のサイレント映画。

 サイレントだけれど十分笑える。学校に変なもの持ってきて怒られたり、いじめの立ち回りを考えたりと懐かしさを覚えるコミカルさがそこにはあった。

 ただし、物語が終盤に近づくと恐ろしい展開に。

 あんなに厳格だった父親が、ブルジョワジーの家の主人にぺこぺこゴマすり。

 父親を尊敬していた息子がショックのあまり反抗するシーンは心にぐさっと刺さった。小津安二郎恐るべし。

 

第四位:「ボーイズ・オン・ザ・ラン」

 ダメなサラリーマンが、愛のために走る。

 裏切りにも立ち向かう。

 へたれが、リミッター解除して愛に復讐に奮闘する様子に教習場ライフで苦しんでいた僕は勇気づけられた。決して、ハッピーなエンディングじゃない。世の中って結構そういうところがある。でもそれでもボーイズ・オン・ザ・ランするサラリーマンのソウルに心揺さぶられた。ちなみに、この作品に出てくるガシャポン屋の上にあるメイド喫茶にこの前、英語の授業プレゼンのためのフィールドワークで行きました。

 

第五位:「狂い咲きサンダーロード」

 やはり、僕もついにこの映画にたどり着いた。日本映画の中でカルト的人気を博すヤンキー映画。熱かった。仲間が一人、また一人と減る中、己の道を信じ重装備で敵対勢力に殴り込む青年に惚れ込む。「AKIRA」のような漢の作品と言えよう。

 僕も結構一匹狼なところがあるだけに主人公の青年の気持ちが痛いほど分かった。分かっちゃいるけど戦わないといけない理由があるんだよな~

 

第六位:「東海道四谷怪談」

 日本のホラーって退屈でつまらない。「リング」も「着信アリ」も全然怖くな面白くもなかった。しかし、この映画を観てその常識はうち破られる。本当にトラウマになった。どす黒い赤や青の証明、何度も復活する小岩さん、切っても切っても現れる小岩さん、レディの顔が一瞬でグロテスクなものになる様子。非常に怖かった。実は夢に出てきてうなされました。本当に怖かった。でも「呪怨」以来のエキサイト出来たジャパニーズホラーでした。

 

第七位:「Dolls」

 先日、ついに「それぞれのシネマ」で武映画をコンプリートした私だが、そんな私の今年の一押しは「Dolls」だ。「心中天網島」を意識した心中物語。そしてそれに続くかのように二つの悲劇が交差する。武独特の流れるような映像、組み合わせが心にナイフを突き刺す。恋愛映画で尚且つ静かな作品なのに、どこかえぐられるような凄まじい作品でした。何よりも、本当に赤い糸で結ばれたカップルが道を闊歩する様子、雪の中死へと向かっていくカップルの姿は心から哀しみがこみ上げて来る。武の芸術はクールだなといつも思う僕である。

 

第八位:「津軽じょんがら節」
 文芸的作品。やくざに追われるように東京から津軽に逃げてきたカップル。男は、カノジョからどんどん離れ、現地盲目の少女を愛するようになり、ろくに働きもせず博打と盲目の少女との情事に励む。そんな彼氏を持つカノジョは働いて身銭を稼ぐが彼氏に奪われる。自分から離れていく彼氏への葛藤、そして彼氏は追っての気配を感じ逃げようにも金がないから、盲目の少女を騙して金を奪って逃げるか否かの葛藤に悩まされる。津軽の殺伐とした雰囲気と、哀愁がたまらない。3角関係のねじれ具合が純文学を読んでいるようで非常に面白かった。

 

第九位:「ダイナマイトどんどん」

 岡本喜八のやくざ野球映画。ヤクザ抗争に警察の仲介が入って、野球で白黒付けることに、しかしヤクザはヤクザ。様々な仕込みを行い相手を敗北に陥れようとする。

 そして、裏では野球賭博まで行われてんやわんや。菅原文太の厳つさはもはやトラック野郎を知っている私にはギャグそのもの。70年代の荒々しいエンターテイメントに心奪われた。岡本喜八って今で言う三谷幸喜的存在だったのかな?

 

第十位:「トラック野郎 一番星北へ帰る」

 菅原文太主演のシリーズ第八弾。シリアスだ。

 まず、桃次郎のお見合い。なんとお見合い相手と未亡人を間違えて折角の縁談を失敗させる事態に。未亡人を諦められない桃次郎は、カノジョの居る所へ通うが冷戦状態。カノジョの息子にけなされる事態に。さらにアメリカかぶれのライバル出現。搭載量の多いトラック使用で同業者を苦しめる。そして、遂に緊急ミッション医療器具を運ぶミッションが訪れ田中邦衛扮するポリスと戦うのだった。とにかくついてない桃次郎。その哀愁と、それを根性で乗り越えようとする桃次郎に熱くなる。

 笑いも多いが同時にシリアスな面も多い。今まで観たトラック野郎の中で一番過酷なエピソードだった。