地球の急ぎ方~モロッコはイン・シャー・アッラー編~

一日目 エクストリーム出国

 フィリップ・シーモア・ホフマンが死んだ。

 えっつ、誰それって❓

 映画俳優だ。僕の好きな。

 「カポーティ」でアカデミー賞主演男優賞を獲った俳優だ。

 独特の存在感を放っていて好きだったのに、僕が恵方巻を食べている間に死んだ。ついてない。

 「この後、チェ・ブンブンに災難が降りかかるなんて知る由もなかった」

 と僕の脳内から、メッセージが受信された。きまって、このフレーズが頭をよぎると本当にとんでもないことが起こる。例えば欧州一人旅をした時、このフレーズを受信してしまったおかげで、カタコンブにて呪われた(8割自分のせいでもあったが)。デンマークの時は毎日1時間だけ大雨に遭遇。イタリアで買ったサイゼリア柄の折り畳み傘が、この地で藻屑と化した。アメリカ留学の時は...これ以上は言わないでおこう。しかし本当にエクストリームな旅になるとは、真面目に知る由もなかった。

 

 2時間後

 

 僕は空港で、知り合いと談話していた。映画祭で知り合った映画仲間だ。いつものように映画の話をした。そして、彼から映画の券を買った。ここまでは計画通りである。しかし3時間後の僕の心持ちは穏やかではなかった。

 

 「くそっ、何故だ。」

 

 窓際族はよくないというが、それは飛行機内でも当てはまる。僕は飛行機の窓際席だった。不運なことに隣人はアツアツのカップル。プリズンブレイク不可。最悪だ。僕はスカイライナーで半分まで読み進めた「ウルフ・オブ・ウォールストリート」を読む。尿意が来ないように、来ても頭の中の消しゴムで消え失せるように。隣人のアツアツカップルの彼氏は、やはり窓際の僕の隣にカノジョを配置するのは好ましくないと考え、席チェンジをした。カノジョの警戒モードは高い。そう、僕の特殊能力その1。第一印象が悪いのである。通路側を祈っていたのに、意に背かれ、フィリップも臨終したから無理はない。不機嫌だった。

 そして、搭乗してから2時間が経とうとしているのに飛び立たない。そういう不幸中に幸いが。本来、飛行機が上空に舞ってから使えるテレビセットが何故か使えるのだ。もちろん、僕は「映画」を選択。アメニティや緊急着陸法の資料が入っている袋にTVプログラムが入っていなかっただけに、今回収録されている映画が楽しみだ。よっしゃーエドガー・ライト最新作「ワールズ・エンド」、ウディ・アレン最新作「ブルー・ジャスミン」、「パシフィック・リム」「メイジーの瞳」まであるじゃないか!なんてゴージャスだ。早速、「ワールズ・エンド」を観る。なんたって3時間前、映画仲間から劇オススメされていたからだ。予告編も何も観るなと念を押されていた。これは観なくては。

 

 めっちゃおもろい!エドガー・ライトお得意のしょぼいイギリス感がバンバン前面に醸し出されていて、且つ「ショーン・オブ・ザ・デッド」のようなユニーク逃走劇、「スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団」さながらのアクションがあって、そしてテーマが「酒屋をはしご」でしょ!こういう展開好きだったわ。

 と思っていた矢先、ついに動かぬ機内から重々しいアナウンスが。さっきから、医者を探しているアナウンスがきこえていたけれども、ここまで深刻だとは知る由もなかった。

 

 「当機は急病人看護のため引き返します」

 

 REALLY?SERIOUSLY?チェ・ブンブンは激怒マイナス1した。何故、マイナス1かって、それはもう少し後で説明しよう。さっきようやく滑走路付近まで移動していたカタールの飛行機が重々しい動きで引き返しました。そこから、僕らは1時間待つことになり、そして...

 

 「当機は欠航となりました。只今ホテルの手配をしています。お待ちください」

 

 もう結構です。こんな不運ノーサンキューだよ。どうやら、急病人看護している間に、成田空港が周辺住民と交した契「夜の11時以降は飛んじゃダメだゾ」を過ぎてしまったのだ。急病人看護だから、例外適用をパイロットが申請したのだが、管制官に却下されたよう。チェ・ブンブンは激怒した。

 

 1時間後、僕のiPhoneのバッテリーが刹那になり久遠に飛ばぬ飛行機に神経衰弱ギリギリである。どうやら僕の参加したツアーは人数が多いため、無料宿泊できるホテルを手配できないらしい。

 

 「これを編集している人の出国は中止されました」

 

 こんなことになるなんて知る由もなかった。モロッコロケするのに、ここでツアー中止になったら本当に急病人を殴りたいわ。なんたってツアー延期になったところで、留学の関係上、3月以降は海外旅行できないもんだからチェックメイトになるのである。それにしても、初めて見た「出国中止」スタンプ。それも日本で押されているから、空港で麻薬やエロ本を密輸しようとして出国を止められた人のような気分になるわ。

 

 さて気になるホテルだが、空港のロビーで「ターミナル」のトム・ハンクス張りに滞在。僕としては史上初の徹夜AM2:00を過ぎてもなお進展がない。こんな修羅場でもおばあちゃんは強い。おばあちゃんはすぐ、初めて会った別のおばあちゃんと意気投合し旅行話に花を咲かせる。一方、今回おひとり様、シングルマンのチェ・ブンブンはというと案の定干からびていた。チェ・ブンブンの干物は不味そうだ。

 

 「たいへん長らくお待たせしました。ホテルの手配が取れましたのでバスに乗ってください。」

 

 空港職員が旅館の女将のように一列に並び、45度の礼をしているのを横目にバスは暗路を疾走する。どうやら、ガイド含め計40人を収容できるホテルを成田付近で手配することができなかったので、某ネズミ帝国のある舞浜まで行くそうだ。えっつ!ディズニーランドのホテル!と期待してみたが、惜しい。シェラトンホテルだ。それでも、ぼろホテルではなくてプチテンション上がった。

 

 AM4:00ホテル到着

 

 錆びついた僕を癒したのはシェラトンのスイートルーム。明らかに今まで僕が止まったホテルと格が違う。バスルームと寝室仕切りがまさかの「窓」。身体洗って、そのまま、寝室にドーンできるじゃん。しかも、窓から海が見えるし、一人でベッド4つも使えるしサイコーじゃん。と僕はいつの間にか気を失った。

 

 果たして、チェ・ブンブンはシェラトンから脱出し、国外からも脱出し、憧れの地モロッコに辿りつけるのだろうか?また、彼の新作映画「ラマダーン」の撮影は無事撮れるのだろうか? to be continued...

                    

 

 

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コメント: 1
  • #1

    下江航平 (火曜日, 18 2月 2014 11:47)

    某ネズミ帝国は笑わせてもらった…w
    災難だったな〜
    旅先の写真はFacebookかな?
    また新学期に見せてもらいたいぜ!