「馬々と人間たち」:トーキョーノーザンライツフェスティバル2014にて

馬の反乱。アイスランド映画もドSだったw

「馬々と人間たち」:評価80

監督:ベネティクト・エルリングソン

 

 昨年東京国際映画祭で監督賞を受賞した作品。私、北欧を研究するサークルに入っておきながら、アイスランド映画だけ観たことがなかっただけに今回再び上映された「馬々と人間たち」で決着をつけた。

 ところで北欧映画として近年良作を生み出しまくっているデンマーク映画ですが、今回のアカデミー賞外国映画賞にもノミネートされている「偽りなき者」もそうだが、とにかくドSである。とても幸福度ランキング1位の国とは思えないほど、大惨事を徹底的に盛り込むのが上手い(特にラース・フォン・トリアー)。スウェーデンのゆる~い感じや、フィンランドの哀愁感とは違った雰囲気を醸し出しているのがデンマーク映画だ。
 さてアイスランド映画はというと...これだけで判断するのはよろしくないのだが、デンマーク映画に劣らず凄まじかった。まず、東京国際映画祭やトーキョーノーザンライツフェスティバルのプログラムガイドをご覧になって頂きたい。私はてっきり、マントを羽織ったおじさんが勇敢に白馬に乗っている写真だと思っていた。しかし、友人の一言でゲシュタルト崩壊。なんとこの写真、馬々の交尾中の写真だったのだ!何故、交尾中の馬の上におじさんが乗っているのか?どんな話なのか。下手すると日本劇場未公開、DVD化さえしないかもしれないから総てを語ろう。

 白馬に乗って闊歩するおじさんが、黒馬に襲われるシーンだ。

 冒頭から激しい。白馬と黒馬の発情から始まる。馬なのに、エロ映画並のカメラワーク。シークエンス。爆笑である。家族が馬をあざ笑うのも束の間。おじさんが白馬に乗って散歩に出かけてすぐ、脱走した黒馬によって犯されるのだ、白馬は。そして馬ごときに侮辱された男はキレて白馬を射殺。ここから仁義なき戦いが幕をあけるのであります。

 そう、これは馬版「ジャンゴ」だ。馬の強烈な酷使シーンを観客に魅せつける。例えば、ウォッカを買いそびれた男が馬にまたがり、浜から500m以上離れた船を目指して泳がせる。そして、船から直接ウォッカを買う。馬を束ねて二人三脚のようにして強引に馬主によってコントロールされるシーンなど「バルタザールどこへ行く」もビックリな馬の酷使描写を描いた上で馬の反乱を描く。

 目つぶし、殺戮、レイプ。おそろしい。そしてこの手のアクション映画に欠かせない、哀しい友情物語まで描かれている。

 登場人物の構成が馬と人間という異色な作品だが、反乱ものの作品としてはクオリティが高い。馬を見事に操って撮影しきったエルリングソン監督の腕前は確かなもの。是非とも日本公開して欲しい作品でした。

 ただ、これR指定かけないとショッキングな映像で苦情が来そうだな(汗