「アメリカン・ハッスル」:TOHOシネマズみゆき座にて

いつも惜しいラッセル映画、「スティング」には...

「アメリカン・ハッスル」:評価65

監督:デヴィッド・O・ラッセル 出演:ブラッドリー・クーパー、クリスチャン・ベイル、エイミー・アダムスetc 

 

 明日発表のアカデミー賞、「ゼロ・グラビティ」の好敵手として君臨した作品がこれ。最近、ずっとノミネート止まりのラッセルさんいい加減賞を獲ってもらいたいなと思っていたのだが、やっぱり惜しい。

 かの有名な詐欺映画「スティング」と似た内容だけにどうしても比べてしまい、そして越えられないでいたのだ。確かに役者は凄い。冒頭5分のクリスチャン・ベールの「太る」演技にプラスアルファした試みに唖然とさせられる。女優もジェニファー・ローレンスの叫び暴れまくる悪女っぷり、危険なマフィアのドン扮するデ・ニーロの威圧感も半端ない。でも、失速気味なのだ。

 「スティング」は目的が明確だ。「復讐」だ。仲間を殺された復讐心で仲間を集めて一網打尽。シンプル。そして主人公たちの行動に感情移入することができる。一方「アメリカン・ハッスル」は、「とにかく悪を倒そう」と目的が曖昧だ。しかも、味方は好き勝手に動き回るし、倒す敵を次から次へと増やすから収集がつかないのである。

 でも、ストーリーとしては「スティング」だからつまらなくはない。架空の大富豪をちらつかせてマフィアと汚職政治家を一網打尽にしようと、FBIが詐欺師を雇う。そして任務開始。まずは、カジノ利権をちらつかせるべく会場作りから。存在しない大富豪の存在を政治家に信頼させるべく話術や間を使う。段々罠に敵をおびき寄せるのだが、ハプニングや敵のトラップに四苦八苦。さらに、この作品では仲間が皆クレイジーだから、いつ爆弾のスイッチを押すか分からない状況。しかも、彼らの計画が「スティング」のように華麗ではなく、むしろ「アルゴ」のように無茶で押し通すから緊張感がある。

 しかし物語が軌道に乗るまでが長い上に、種明かしが露骨過ぎて後出しじゃんけん感が強い。特に、強敵デニーロ(このシーンしか登場しないのだがメチャクチャ怖い。)との対峙シーン。観てる方も怖じ気づくほどの修羅場の回避法が雑すぎて肩すかしをくらってしまった。

 ん~残念ながら、キュアロンを倒す作品ではなかったな。